展覧会概要(新潟市美術館ホームページより転載)
長野県上田市の、とある丘の上に、中世ヨーロッパの教会風の佇まいの美術館があります。名前は「無言館」。並んでいるのは、ひたむきに、誠実に描かれた絵画ばかり―いずれも、戦争によって志半ばで命を落とした画学生たちの遺作です。二度と自作について語ることの叶わなかった彼らの声に、作品を通して耳を傾ける場を、という画家・野見山暁治氏の意志を継ぎ、館主の窪島誠一郎氏が全国各地の遺族を訪ね歩いて預かってきました。
本展では、通常陳列されていない約130点をお借りして、画学生たちがカンバスに託したものを「望郷」「家族」「自我」「恋」「夢」の5つのテーマによって紹介します。彼らが短い青春のひと時に描いた親しい人の姿や場所、憧れや理想をご覧いただき、永遠に失われてしまった可能性に思いを馳せてみてください。また、平和の尊さをも身近に感じていただけたら幸いです。
あわせて、新潟市美術館の所蔵品から、新潟市出身で、同じく惜しまれながらも戦没した加藤一也(いちや)、佐藤清三郎、金子孝信の絵画・資料も特集展示します。
さて、どんな気持ちで絵を観ればいいのでしょうか。
もちろん、観ないという選択もあるし大多数の人はわざわざ観に行かないのだろうなとも思います。
芸術の本当の価値は観る人の心の中にあるわけで、無名だから価値がないという事はあり得ません。しかし、このような意図で集められた作品の展示は果たして作家の意思に沿っているのだろうか。プロの作家であればともかく画学生(中には卒業生も)は作品が不特定多数の人の目に触れることを望んでいたのだろうか…収集し、展示する側も悩んだようです。
作品を鑑賞すると、それぞれの作家に特徴があり、カンバスの上に塗られた一筆一筆に確かに生きて感じて表現していたのだという事が実感させられます。戦争がなければ画家として一生を全うした人もいるでしょう。
絵によっては画材の質や保存状態の影響を受けており、中には絵の具が剥がれてしまった作品があります。
作者は作品がそのような状態で展示されることを決して望んでいないだろうなと思います。一方、展示者は絵としての価値ではなくその物語に価値を見出しているのでしょう。
戦争という時代のフィルターをかけてみる。それはそれで一つの観方。このような悲しい作品群が二度と現れないための一つの方法なのでしょう。
0 件のコメント:
コメントを投稿