2021年4月4日日曜日

【柳都新潟 古町芸妓 あおいの歩く道】 著者:小林信也 新潟日報社 2021年3月3日 初版第1刷発行

 古町芸妓のあおいさんと言えば、当時一番の売れっ妓だった春花さんと写ったJR東日本の新潟観光のポスターが貼っては盗まれるという騒動を引き起こした人気のある芸妓さん。春花さんが結婚で芸妓を廃業した後は一番の売れっ妓として古町の花柳界を引っ張ってきた人です。

これは新潟日報の夕刊にあたる「おとなプラス」の連載をまとめたものだけれど、なかなか知ることのない芸妓の世界や彼女の考え方を知ることが出来て興味深かったです。

どの業種でも一流の人は問題を他人事にせず、それでいて前向きなんだな。

新潟では古町以外は廃れてしまったけれど、かつては他にも花柳町はあって、そういうところは今でも細々と続けている呉服屋さんやお茶の道具を扱う店がありそれと知れる程度ですが、古町には日本舞踊市山流の宗家があり、その弟子に古町芸妓の方々がいる。古町芸妓は他と比べて派手な簪で飾ることがないように思いますが、それはやはり芸事を本分とするからなのでしょう。

柳都振興という会社を作り新人の芸妓さんをその会社の社員という形で育成することで芸妓文化を残そうという新潟の旦那衆の知恵と意地があり、あおいさんのように芸妓という仕事に誇りをもって向き合う人もいらっしゃる。

文化は生き物ですから、周りがどう考えようと本当に向き合い続ける人がいなければ廃れるものだと思います。

個人的には何とか残ってほしいと考えています。


新型コロナウイルス感染予防対策で大打撃を受けている飲食業界の中でも宴席が中心である料亭、その席で活躍する芸妓さんにとっては特につらい状況だというのは想像できます。実際に廃業する料亭も出てきています。

そのような状況からか本書の売り上げも一部は関連団体へ寄付されるとのことです。


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